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ぼーかろいどのキャラデザに惹かれた管理人が萌えを語るためのブログ。最愛は白リボンの黄色い子。
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スイートマカロン(1.5)

日付詐欺ですが、ミクさんの日に。
一応つづきだけど、本編とはあまり関係ないミクさんのターン。
(※あとで少し増やすかもしれません。)

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 私はレンが好きだ。それは、今も昔もずっとずっと変わらない。レンとの関係が従兄弟から恋人へ昇格したときなんかは、しばらく嬉しくて、食事が喉を通らなかった。
 でも、手を繋げなくなったのは私で、目を逸らしたのも私だ。レンはきっと申し分のない「彼氏」だったのに、私のせいで、二人の距離はどんどん遠ざかっていった。それを埋めるために別れたつもりだったけれど、一度は成功したように思えたそれも、けっきょく私が壊してしまったのだ。
 
 ミクちゃんに声をかけられたのは、レンとの仲がぎくしゃくし始めた頃だった。高校一年生の、四月の終わり。本当なら、せっせと友達作りに勤しむ時期なんだけど、レンとのことで自分を持て余していた私は、それどころではなかった。その日の昼休みも、私は一人で、お姉ちゃん作のお弁当を広げた。食欲のないままボソボソと煮豆をつついていたら、ふいに頭の上から凛とした声が降ってきたのだ。
『鏡音さん、ちょっとお時間あるかしら』
 お時間も何も食事中なんだけど、そう思いながら顔をあげると、一つ年上のクラスメイトが小首をかしげてこちらを見下ろしていた。
 同じクラスに、初音ミクがいることはもちろん知っていた。整った目鼻立ちとスタイルの良さは始業式の時にも一際目立っていて、ファッション誌の子に似ているなぁと思って名前を確認したら、まさかの本人だった。クラスで自己紹介をさせられた日、彼女は欠席していたけれど、一学年留年しているという噂も漏れ聞いた。入学当初こそ周りに群がっていたクラスメイト達は、その頃は遠巻きに眺めるだけになっていた。入学早々からミクちゃんが休みがちだったせいもあるんだろうけど、それ以上に、色んな意味で特殊な存在だったからだと思う。教室の隅でひっそりと孤立しつつあった私とは違って、ミクちゃんは確かな存在感を持ったまま、クラスから浮いていた。
『もし良かったら、少し付き合って欲しいんだけど』
 ミクちゃんはそう言って、ぴかぴかの爪でついと教室のドアを指差した。彼女の澄んだ声はよく通る。昼休みの喧騒を装いながらも、皆の意識がこちらに向いているのが分かった。だから私は、黙ってお弁当を片付け、席を立った。連れ立って廊下に出ると、ミクちゃんは行き先も告げずにすたすたと歩き始めた。私はまだ校舎内を把握していなかったから、置いていかれたら迷子になる。必死で追いかける私を一瞥して、ミクちゃんはぽつんと呟いた。
『あなた、歌は好き?』
『……え?』
『私、あなたの声、気に入ったわ』
 歌と聞いてその時とっさに思い出したのは、その日の午前中の音楽の授業だった。ピアノの周りに集まって校歌を練習させられたこと、たまたま隣に初音ミクが居たこと、彼女のソプラノが透き通って綺麗だったこと。けれど、自分の声を聞かれていたとは予想外だった。
 部室棟の一階まで来て、ミクちゃんはためらいなくドアの一つを開けた。ドアの上のプレートは「合唱部」と読めた。
『ミク!おひさー』
 一斉に振り返った人影の一つが、華やかな声をあげた。今思えばそれは、グミさんだった気がする。にこりともせずにそれを受け止めると、ミクちゃんは私の腕を引いて部室へ踏み込んだ。そして、爆弾発言を落としたのだ。
『私の代わりを連れてきました』
『……は?』
 私の小さな疑問は、上級生たちの声にあっけなく塗りつぶされた。
『あら、ほんとに連れてきたのね』
『誰、1年生?』
『ていうかミク、ほんとに辞めちゃうわけ?』
 わらわらと集まってきた上級生(ミクちゃんにとっては、かつての同級生もいただろう)に、ミクちゃんは毅然と対峙した。
『ご存知とは思いますけど、私、学校外で少し活動をしていて。今年は去年より忙しくなりそうなので、部活動に時間を割けません。出席率の悪い部員がいては、ご迷惑でしょう?』
『べつにそんなこといいのに!』
『代わりを連れてきたら、退部を認めてくださるというお約束でしたよね』
 気のいい先輩たちは、口々にミクちゃんを引き止めた。でも、ミクちゃんは頑として譲らなかった。今なら分かるけれど、合唱部は秋のコンクールにかなり力を入れていて、練習に参加できないというのは問題なのだ。ミクちゃんはソロパートも多かったそうだから、尚更だった。
『初音、さん?あの、私……』
 どうやら初音さんの身代わりに連れてこられたらしい。ようやくそう飲みこんで、私は待ったをかけようとした。友達作りもまだの私は、当然、部活も特に考えていなかった。だから支障はなかったんだけど、あまりにも急展開すぎたのだ。
『鏡音さん』
『はい?』
 ミクちゃんにしっかりと肩を掴まれて、私はのけぞった。その勢いとは裏腹に、彼女の柳眉は気弱に顰められていた。雑誌でもクラスでも見たことのない、初めて見る表情だった。
『歌は、好きよね?』
『……好き、だけど』
 その困り顔に絆されて、けっきょく私は頷いてしまったのだった。
 
 それ以来、ミクちゃんとはよく話すようになった。グミさんやルカさんのいる合唱部も、にぎやかで楽しかった。レンとの関係は相変わらず下り坂だったけれど、ミクちゃんや部活の存在は、それを忘れさせてくれた。
 ミクちゃんにだけ、レンのことを一切話さなかったのは、私がミクちゃんに憧れていたからだと思う。学校の授業を休んだり、部活を辞めてまで、自分のやりたいことに時間を割くミクちゃんは、すごく輝いて見えた。そんな人と親しくなれたことが誇りだったし、失望されたくなかった。私のレンに対するはっきりしない態度を、きっとミクちゃんは嫌うだろうと思ったのだ。



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別れた理由は次回持ち越し。
次で最後の予定。

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こちらは管理人シロセが個人の趣味で萌を語るブログです。同人的要素を含みますので、苦手な方はブラウザバックを推奨します。また、製造元・版権元・その他各企業様とは全く関係ございません。
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