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ぼーかろいどのキャラデザに惹かれた管理人が萌えを語るためのブログ。最愛は白リボンの黄色い子。
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酔道二人(前)

題名をマイナーチェンジして、かつ、前後編にしました。
前編も少し加筆。
 
酔いどれてるので、たぶん成長鏡音。
(去年、1125にあげた「夜道二人」のリンレンが成長したと思っていただければ。)
(でも、単体でも読めると思います。)
そして、どんな鏡音でも許せる方向けです。前編は大丈夫ですけれど、後編が。
 
お酒は20歳になってから。20歳以上の方も、飲みすぎは駄目です。



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 金曜の夜の電車内は、ちょっと苦手だ。酔っぱらってネジの緩んだ人が多いから。でも私だってお酒が入っているから、他人のことは言えない。今日は隣に、よく知る酔っぱらいもいることだし。
 「レン、だいじょーぶ?」
 「……平気」
 「場所交換する?寄りかかる方が楽なんじゃない?」
 「いいよ。そこまで酔ってない」
 ドア脇の角と、目の前に立つレンとに囲まれた三角形。私はそこに、すっぽり収まる形で立っていた。混み合う電車内では比較的快適なスペースだ。レンは座席端のポールを軽く握るだけで、確かに足元はしっかりしているように見えた。肩に提げたトートバッグも、重そうだけど、危なげなく持っている。
 でも、絶対に酔ってる。いつもならレンは、こんなに近く立ったりしない。
「それ、やっぱ自分で持つ」
「何かワレモノとか入ってんの?」
「ミク姉に借りたコンデンサのとかまぁ、色々?」
 レンの持つトートバッグは、私の荷物だった。ちょっとした音響機材が入っているから、割れ物とはいかないまでも、乱暴には扱えない。
「分かった。絶対落とさないから」
 いや、そういうことじゃないんだけど。まあいいか。ミク姉も、もう使わないものだと言っていたし。
 小花柄の散るトートバッグは、一見するとどこにでもありそうなデザインだけれど、一応、流行りの外国ブランドのものだ。だから床に置いたりはしたくなくて、でも、中身のせいで今はかなり重量がある。レンに持ってもらえるなら、とっても助かる。
「たく、何でリンの方が強いかな」
 うっすらとお酒の香りをため息にのせて、レンが呟いた。そんなことない。私たちのお酒への耐性は、同じくらいだったはずだ。単純に今日は、レンの方がたくさん飲んでしまっただけだと思う。
「レンはペースはやかったよね。見てて心配になったもん」
「そう思うなら止めろよ」
「だって、席遠かったし。そっちすごい盛り上がってたよねぇ、何話してたの?」
「あー……うん。やっぱりリンは、来なくて良かったかも」
 そういえば、レンのいた席は若い男の人ばかりが集まっていた。となると話の内容はだいたい想像がつく。でも、レンは、話にはあまり加わらずに黙々とお酒を飲んでいた気がする。むしろ輪から外れたがってるように見えたんだけど……他の人と好みが合わなかったのかな?さすがにこれは、何となく聞きづらい。
「そっちこそ大丈夫だった?リンの隣にいたOBの……えーと、なんか偉い人なんだろ?」
「トウノさんね。噂に聞いてたから、私も不安だったんだけど――」
 私の隣に座っていたOBのおじさまは、酒豪との噂を裏切らない飲みっぷりだった。だけど周りに強引に勧めるような癖はなくて、私は次々と空になるグラスへお酌をするだけで良かった。彼のペースにつられて飲みすぎると危ないだろうけど、きちんと自分で調整できるなら何も問題はない。
「私はちゃんと、セーブできるし!」
「俺ができないみたいな言い方やめてくれる?」
「できてなかったでしょ、少なくとも今日は」
「……男には、飲まずにいられない時もあるんです」
 もごもごと不満そうに言うから、少し笑ってしまった。レンが普段より饒舌なのは、やっぱり酔っているせいなんだろうか。私自身も、ちょっぴりハイになっている自覚はある。
「オールにならなくて良かったねぇ。あのまま飲んでたら、レン、絶対つぶれてたよ?」
「うるさいな。ほら、降りるよ」
 腕をひかれて、慌てて足を動かす。反対側のドアが開いた先は、なるほど確かに乗り換え駅だった。レンが促してくれなかったら、乗り過ごしていたかもしれない。さんざんレンをからかったけど、私もだいぶ危険区域だ。
 ホームに降り立つと、冷たい風が剥き出しの膝をなでた。ブーツを履いた足先は暖かいけど、その内側をハイソックスにしたのは失敗だった。吹きさらしの素肌が寒い。せめて、タイツにすれば良かった。
 階段を上がった私たちは、乗り換え口には進まずに、そのまま改札を出た。さて、ここからが難題だ。
「ほんとに始発まで待つ?」
「タクシーは高いから嫌だもん。ここからだとかなり距離あるし」
 オールにはならなかったけれど、最後の三次会まで居たから、乗り換える先の終電はもう終わってしまっていた。もともとルカ姉たちにはオールと言ってあるし、レンと一緒だから、心配されない。朝までどう過ごすかが、当面の課題だった。
「ホテル」
「え」
「ていうのは、さすがにダメかなー。ホテルも高そうだし」
 お風呂に入りたかったんだけど。そう言って肩を竦めたら、レンが大きく息をついた。馬鹿だなぁ、冗談だって。お風呂に入りたいのは、ほんとだけど。
「北口側の漫喫なら、確かシャワーがあるよ。頼むからそれで我慢して」
「はーい」
 駅の北口は繁華街で、こちらも千鳥足の人影があちこちにふらついていた。大学が近いからか、私やレンと似た背格好の学生たちも多い。その学生達が一際多くたむろしている店の前で、私は足を止めた。
「リン?」
「ね、やっぱ、カラオケにしよ?」
 シャワーには未練があるけど、どうせ時間を潰すなら、歌うのがきっと一番楽しい。
 


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続きます。










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